秋の空に紅葉、夕焼けに赤とんぼ・・・。そんな秋の風景にぴったりの花、コスモス。花自体は決して寂しい雰囲気ではないのに、茎が細いところから華奢なイメージが浮かびます。山口百恵さんが引退する時に歌っていたのも「秋桜」でした。そんなコスモスの花言葉は「乙女の純真」。嫁ぐ前の娘にぴったりのお花なのです。
コスモスは前文でも書いたとおり、花の形が桜に似ていることからこの漢字が使われ、和名にもなっています。学名はCosumos bipinnatus Cav.(コスモスビピンタナス)といい、属名はギリシア語で「秩序・調和・美しい・装飾」などを意味するKosumosに由来しています。宇宙のこともコスモスと言いますが、これも星がきれいにそろうことからつけられ、花のコスモスも花びらが整然と並んでいることからつけられたようです。
原産地はメキシコ中央高原。標高2400〜2700mに生じていたそうです。その後、18世紀の後半にスペインを経てヨーロッパに広まりました。日本には江戸時代の末期にポルトガル人またはオランダ人が島津藩(現在の鹿児島県)に届けられたとか、明治12年に東京美術学校(今の東京芸術大学)の講師として赴任したラグーサ氏がイタリアから種子を持ち込んだと言われていますが、明確ではありません。いずれにせよ明治の中頃には渡来しており、明治末期には全国に普及し、各地で栽培されるようになりました。渡来当時は「コスモス」という呼び名ではなく、漢字の通り「あきざくら」と呼ばれていました。西洋の花の中において短期間で普及したという花なのですが、その秘密は日本人好みで栽培が簡単ということ、そして全国の小学校に配布された、というのも理由のひとつのようです。
日本で園芸用として栽培されているのはコスモス(ピピンタナス系)とキバナコスモス(スルフレウス系)の2種類。前者のコスモスは一般的に見られるコスモスの花をさします。茎は直立し、高さは1〜2mほど。後者のキバナコスモスは、花の色が黄色かオレンジなのでそう呼ばれていますが、コスモスと比べて花がやや小さめ、中心のおしべの部分が大きく、八重咲きのものもあります。高さも30cm〜1メートルと短めです。最近では「チョコレートコスモス」と呼ばれる暗赤色のコスモスがよく見られるようになりました。このチョコレートコスモスは色がチョコレートに似ているというだけでなく、甘い香りもして本当にチョコレート、という感じです。大正時代に輸入されましたが、増えにくいためあまり普及しませんでした。しかし、最近の組織培養による繁殖が可能になり、栽培がさかんになっています。
茎の細さから華奢なイメージがありますが、雨や風で倒されても茎から芽を出し、再び花を咲かせる生命力があるのです。コスモスのかわいらしい華奢なイメージと生命力の強さを感じてみてはいかが? |